時計

5.16年間の実績

人間の体内の血管に相当するのが建物内の給水配管や空調冷温水配管となる。血管もこれらの配管も酸化で劣化を起こし人間は最終的に死に至る。配管は新管に取替えることで再生するが、人間は生き返らない。

20年程前に私はある事に気が付いた。雷はどこから来るのだろうと。空を覆うあのどんよりとした雲が突然の雨と雷をもたらす。昔、子供の頃、雷は鬼(赤鬼と思う)が太鼓を叩き雷を起こす、子供はおへそを取られない様おへそを隠して逃げろと教わったのを覚えている。しかし大きくなって雷は自然現象だと理解をする。一体どうして雷が起きるのだと自分なりに考えてもなかなか思い当たるふしがない。しかし20年前に突然、雷はある条件で起こることが判った。つまり、雲が激しく勢いよく動くと必ず雷が起こるという事が判った。そしてその元になる電子は雲自身が保有している事も判った。上空より雨で落ちてくる液体の水は運動しても電子は放出されないが、雲という小さな水の凝集体(小さな水のクラスター)が運動すると電子が放出されることが明確になった。そしてこの電子は水が保有する自由電子であることも判った。そしてこの現象を理解するには、水の持つ自由電子は水のクラスターが大きい液体の時は運動しても放出されない場所に在り、クラスターが雲みたいに小さい時は運動すると放出される場所に存在する事も自分なりに判った。当時、自分の考え方、理解の方法を裏付ける情報が耳に入った。建物の設備関係に携わる人から「ボイラーで水蒸気を作り、水蒸気を送っている配管内は鉄管でも赤錆劣化は全く無いが、その水蒸気が冷えて温水となって戻ってくる配管内は赤錆劣化が大変進んでしまう」と。私は、これは雷と同様の現象が、水蒸気が送られている配管内で発生し、その発生した電子が配管内の酸化反応を抑制していると確信した。つまり、小さな水のクラスターは運動すると電子を放出し、酸化反応を抑制し還元反応を起こすことが、自分なりに明確になった。そしてこの水の自由電子は「水和電子」であることも判明した。

あとはどの様に水のクラスターを小さくし維持するかである。過去の研究及び製品開発を見ると、前章で述べた私と同じ理解が無くても、一時的に外部よりエネルギーを水に加えて水のクラスターを小さくする試みがなされている。

まず、超音波で水のクラスターを小さくし、水蒸気を作り加湿器として利用している。また、眼鏡の洗浄でもこの超音波は利用され、水のクラスターを小さくし水の浸透性の向上と水のクラスター全体の表面積を増やし、洗浄力を高めている。

しかし、この超音波を利用した配管内酸化防止装置は存在しない。理由は、超音波で小さくされた水のクラスターは装置を通過後、1秒間以内に再び元の大きなクラスターに戻ってしまうからである。その理由は、H2Oを構成する水素はプラスに帯電し、酸素はマイナスに帯電している為、すぐにプラスとマイナスが引き合い、再凝集する為である。

超音波以外では、電気を水に流しクラスターを小さくする試み、或いは永久磁石、またはコイルを巻いて電気を流し、電磁石とした磁石装置で、磁界を形成し、その磁界を水が勢いよく切って流れた時に発生する誘導電流で、クラスターを小さくする試みが数多くなされたが、強力な超音波でクラスターを小さくしても、1秒以内に元の大きなクラスターに戻る現象と同じ理由で、すぐに大きなクラスターに戻ってしまう為、従来の方法では、運動すれば水和電子が放出される水の状態を長時間維持する事ができず、配管内の酸化防止に成功しなかった。

私が唯一、配管内の酸化防止に成功する事ができたのは、「共鳴現象」を利用できたからである。水(H2O)を構成する酸素は偶数の原子番号の為、共鳴は起きないが、水素は核が地球と同じくN極とS極を持つ磁石となっている為、ある特定の電磁波で共鳴を起こす。この現象は核が磁石となっているものが共鳴を起こすことから核磁気共鳴と呼ばれ、その英語名Nuclear Magnetic Resonanceの頭文字をとってNMRと呼ばれる。また、その核の周りを回る電子はやはり特定の電磁波で共鳴を起こし、その現象は電子スピン共鳴と呼ばれ、英語名Electric Spin Resonanceの頭文字をとってESRと呼ばれる。この共鳴が起きると、その共鳴は6時間以上継続し、この間大きな水のクラスターは小さい状態を保つことが判明した。つまり、ある特定の電磁波で水素の核と電子を共鳴させてあげれば、共鳴の開始から少なくとも6時間は水の再凝集を防ぎ、小さな水のクラスターを持続し、その水和電子は運動すれば放電する事ができるクラスターの外側に位置している状態を保つ。

20年前にこの原理に気付き3年間の歳月を経てついに17年前に試験機の試作に成功したのである。

特定の電磁波の波長は最高の企業秘密となる。外部よりの電気エネルギーを使用するとそのエネルギーを増幅でき、その波長を特定できる為、それを防ぐために外部よりの電気エネルギーを使用せず、黒体放射の原理で固体より放射させ、特殊な方法でその波長を制御する事にした。これにより、非常に弱い微弱な電磁波の放出が可能となり第三者にその波長を測定されないことに成功した。本方法は、日本国、米国、EU(英国、ドイツ、フランス)、香港及び韓国にて特許を保有している。

しかしながら、現状の科学ではこの水のクラスターの大きさを測定できず、また水和電子の発生を、水を運動させた状態で測定できていない為、後の章で示す様に、世界中で3,000件以上の水配管内の防錆効果の実績があるにも係わらず、一部、非常に少数だが日本の学者の中には自分が知らない事、或いは理解できない事は、受け入れられず、否定する人が存在しているのも事実である。

最初にこのNMR及びESRの現象を利用して水のクラスターを小さくし、その水を高架水槽からの落下エネルギーにより、運動させる事で水和電子を放出させ、それにより給水配管内の赤錆発生を防止し、すでに発生している赤錆を水に溶出しない黒錆に還元し、夜間滞留水中の鉄イオン値を減少させることで検証を行った建物は、早稲田大学の学生寮だった。その後に北海道立工業試験場、日本赤十字社医療センターと続き、日本赤十字本社、若葉台団地内商業施設ビル等で空調冷温水配管内の赤錆が黒錆に変化して増加する事の検証を行い、2003年11月に大阪大学で開かれたアジア太平洋防錆会議で、装置として給水管内の防錆を行う世界で初めての論文が審査発表された。次いで、2005年10月に日本防錆技術協会(学会)でNMR工法の第2の論文が審査発表された。

装置で給水管、空調冷温水配管内の防錆が実証された論文は世界でこの2件のNMR工法による論文のみである。以後、日本国内では約3,000棟の建物で効果検証を行うと同時に、海外でも多数の効果検証を行い、NMR工法装置が使用されることとなった。特に英国では、多くの設置建物で赤錆を黒錆に変化させることによる防錆の効果検証を行い、ナイチンゲールの病院として世界的に有名なセントトーマス病院を含め数多くの国立病院、BBCの建物、ハロッズデパート、マリオットホテル、ヒルトンホテル、インターコンチネンタルグループ、ホリデーインホテル、ウィンザー城、バッキンガム宮殿、英国国会議事堂等、数多くの建物で防錆効果を検証し使用されている。